今年の4月、兼ねてより希望していたバオバブ生産者が暮らす町を尋ねてきました。
ケニアでも、赤道付近・沿岸部の熱帯雨林気候の地にのみ生息するバオバブ。
私が暮らしていた首都ナイロビは標高も高く気候が異なるため、実はケニア人の中でもバオバブを見たことないという方も少なくありません。
そんなバオバブに出会うべく向かったのは、モンバサから北に電車で約4時間ほどの小さな田舎町。
ゾウが暮らす国立公園を通過し、徐々に車窓から見えてくるバオバブの光景は、なんだかスターウォーズの世界のようです。

無事、町に到着し、出迎えてくれたのは、現地の生産者団体の代表。
バオバブの木を見学できるエリアは道が狭く、車で向かうことが困難な為、1台のバイクに、ドライバー・私・ガイドさんという3人乗りで巡りました。
まさかおじさん2人に挟まれて見学するとは。。。

そんな、温もりあるアテンドをしていただきながら、生産者の元へ。
道中では、下校途中の学生たちや、井戸端会議に花を咲かせる地元の人々の姿も見かけました。
外国人と出会うことは珍しいようで、少し照れくさそうに声をかけてくれる様子は、田舎ならではの素朴で温かい交流のひとつでした。


おじさん2人に挟まれたアジア人という構図も面白かったのかな。

バオバブの実がなるのは、例年4月から5月頃。
今回は、青々と茂る葉と、ずっしりと重みのある実をつけたバオバブの木を見学することができました。

収穫は1ヶ月後ということもあり、残念ながらその様子を見ることはできませんでしたが、実際にバオバブを収穫しているご夫妻にはお会いすることができました。

バオバブの収穫時期は限られている為、農家さんのほとんどは兼業農家。
マンゴーなど広い敷地で様々な果物や野菜を育てておりました。

量や品質の向上の為、現在はこのエリアで収穫したバオバブの実多くはナイロビの工場に運ばれ、オイルが抽出されます。

バオバブの木は捨てるところがないと言われるほど、生き物の暮らしを支えています。
実の中から収穫する種はオイルに。
種の周りの果肉は食用に。
樹皮はバッグといった工芸品に。
水分を多く含む性質から、周辺に暮らすゾウたちは樹皮から水分補給を。
そして、太陽の日差しから身体を休める動物たちの休憩場所でもあります。
このエリアでは、収穫後残った殻を植物の肥料として再利用していました。
まさに循環です。



人間も動物も支えてくれるバオバブ。
ところで、このバオバブオイル。抽出にはコストがかかるということもあり、現地では、オイル利用は少なく、果肉(バオバブパウダー)をお粥に入れて活用することが多いようでした。
ビタミンCが豊富と言われるバオバブパウダーはスーパーフードとしても有名ですよね。
様々な可能性を秘めた貴重なオイルなのだと改めて実感。
しかし近年、環境の変化によりバオバブの木は徐々に数を減らしつつあります。
これはケニアに限った問題ではなく、世界各地で起きていることです。
何千年も生命を支え続けるバオバブの木。
その副産物であるオイルを日常に取り入れることは、微力ながらもその木々を守る一助になると、私は信じています。


